僕はそんな形で一躍グループの有名人になった。
浅地さんもこのところ機嫌が良い。
しかし、その和やかな雰囲気はたわいもない会話から崩壊した。
恒例の浅地さんとの営業終わりの店飲み。
いつも通り、あーだこーだ仕事の事について昼まで飲みながらしゃべっていると
浅地さんが
『そういえば、船橋!〇〇ちゃん、鬼出勤になっているけど、どうした?大学大丈夫なのか?』
僕は当たり前のように答える
『あぁ、やめてもらいましたよ!うちの出勤が足りなかったんで』
浅地さん
『え?は??うちの出勤が足りなかったから、お前がやめさせたの?』
浅地さんはかなり驚いた顔をしている。
船橋『人聞きが悪いですね。自らやめる決断をしてもらったんです。僕は導いてあげただけですよ』
浅地『いや…引くわ。お前マジか…。』
僕は非常に驚いた。
正直、浅地さんは超強面だが、ピュアなところがある。
しかし、浅地さんはこの時すでにこの店の責任者であり
そもそも浅地さんの無茶振りに答えるための結果であった。
浅地さんは畳み掛ける。
『船橋、お前には人の心はないのか?』
船橋:『売り上げを落とす事が人の心だというなら、ないです』
ちょっとギクシャクした。
いつのまにか僕は浅地さん以上に仕事成果を求め、自らを追い込み走り続けてしまっていたのだ。
当時の船橋は、船橋にドン引きした浅地さんにドン引きした。